紫陽花コース 2

前回の紫陽花コースの続き

魚料理
甘鯛の鱗焼  ソース・ラヴィゴット 海老真薯

今回の魚料理のコンセプトはおいしいものをさっぱりと。ジトッとする梅雨のこの時期は焼きたてのパリパリを。そんな思いで構成しました。

小さな甘鯛を鱗焼きにします。甘鯛は小海老をとにかくたくさん食べます。ですので、魚なのに海老のおいしさを持ちます。
鱗ごと焼いていくと、皮と身の間にある脂と旨味が流れ落ちていきます。
それは鱗を伝い、最後には熱々のフライパンに滴り揮発します。その揮発成分には海老の香リをしっかり含んでいるので、海老と甘鯛の旨味が鱗にパッと絡み付いて、パリパリの旨味たっぷりに焼き上がる仕組みです。
その相方には海老真薯。フランスのスフレの技法を用いた凝縮したうまみのふんわり真薯です。その上にはイカスミで作るパリパリのチュイルを添えました。

そして、ソース・ラヴィゴットは、さっぱりに。
ラヴィゴットソースには、冷たいタイプと温かいタイプがあり、今回は温かいラヴィゴットソースです。ほんのりトマトを効かせ白ワインの香りにアクセントをそえて。当然いろいろなハーブを混ぜ込んで作りますので、出来立てのハーブ香が活きているうちに料理に回しかけます。
旬のお野菜を添えてどうぞ温かいうちにお召し上がり下さい。

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肉料理

千代幻豚のロティ カミヒカリ玄米 岩塩焼きビーツ ソース・ザンガラ

千代幻豚。それは幻の豚と言われる豚で、信州飯田の岡本養豚場でしか名乗れない豚です。
日本で唯一の生産農場「岡本養豚」から半頭で入荷して、熟成をかけつつ提供しております。ただいま3週間目。
昭和35年以降生産効率等の理由で海外から輸入された大型の品種が飼育されるようになったために絶滅寸前になってしまった中ヨークシャー種です。25年以上にわたり改良を重ね、豚肉本来の味にこだわり続けた養豚職人「岡本陸身」が復活させた、まさに究極のスローフードです。

詳しくはこちら

まず半頭で届きまして、腕、腿、胴体に分けます。
腿はまた今度。ただいま熟成中です。
腕は丸々コンフィにして、ハーブの香りの生地を挟み、パータフィローという薄いパリパリで包んで焼き上げます。胴体は余分な脂を切り取り、一番美味しい芯の肉のところだけを焼き上げ、皆様のお皿へ。切り取った分厚い脂はラルドと言う塩漬けにするため、プロヴァンスのハーブの香りをつけてマリネします(こちらはまた別の料理に使います)。そして、腹の部分のバラ肉は塩漬けにして、乾かし、ヴァントレーシュというパンチェッタにします。(こちらはソースに使用。)
骨はもちろん全てソースへ。
余すところも捨てるところも一切ありません。常に感謝の気持ちで食材と向き合います。

今月、ソースはこてこての古典のソースです。
しかもこのソース、今ではほとんど使われないソースです。デミグラスソースがベースなので、きっと重たすぎるとか、時代に合わないとかで見捨てられてしまった多くのソースのひとつなのでしょう。

その名は”ソース・ザンガラ”。
ザンガラとはジプシーという意味になります。

ご存知の通り、ジプシーとはさすらいの旅人のことですね。
そのエキゾチックな容姿や、独特の生活スタイルから、実は、差別や迫害にもあっていたそうです。
しかし、音楽や芸能の才能に長けたジプシーの人々は、住み着いた土地で異文化と自分たちの文化をミックスさせ、独自の文化を力強く育んでゆきました。
それは、今振り返れば、スペインのフラメンコ、トルコのベリーダンス、バルカン半島の音楽など、ヨーロッパでジプシーの影響を受けていない国はないと言われるほどにまでに大きな力となっています。
人気オペラの『カルメン』をはじめ、作家のゲーテ、トルストイ、ツルゲーネフ、音楽家のブラームス、シューマン、リスト、画家のピカソ、ゴッホ、ルノアールなど、ジプシーに触発されて作品を創ったアーティストは数えきれないそうです。
ヨーロッパの文化に旅人としてのジプシーがこんなにも影響を与えていたなんて。とても尊敬すべき民族であると思います。

“旅の民”「ジプシー」。その名には、ロマンチック、哀愁、無頼、自由、そんなイメージを感じさせます。そういえば、「母を訪ねて3千里」にも馬車で方々を巡る生活をしてる人々がおりましたが、きっとそれはジプシーだったのでしょうね。なんだかいろいろと想いがつのります。

今回のこのザンガラソース、そういう意味でも、イタリアとフランスの料理の合わさったようなソースに仕上げたいと考えました。 
ですので、フランスの古典的なソースである本物のデミグラスソース(このソースを本気でつくると非常識なほどの高難易度になります)に、イタリアを代表する美味しくしっかり煮込んだトマトソースを合わせ、トリュフの香リをつけ、マッシュルームの細切りと、先程の千代幻豚のヴァントレーシュを加えて作っております。
しっかりとした重心の低いフランスのデミグラスソースに、ジプシーの軽やかな音楽による変革を意識して、爽やかにトマトを感じられるように。理想の地を求め旅をするジプシーの繊細な心の内を意識して、フレッシュなマッシュルームの千切りの繊細な食感を得られるように。ジプシーの力強い民族の誇りを意識し、最高の豚、千代幻豚のヴァントレーシュがもたらす力強い塩味と旨味をそえて仕上げております。

フランス料理のソースとは、ハイクラスになると、出来るだけ何度も漉して舌触りを滑らかに、見た目も艶やかに仕上げる方が一流とされます・・・が、今回のような情緒、哀愁、素朴、自由、などをイメージするジプシーを冠するソースをそこまでやってしまうのは無粋な気がします。
何も考えず、より一流なソースに見せるために、手をかけ、時間をかけ、ただただ、綺麗に仕上げようとすることよりも、最低限の裏ごし回数のみで、出来るだけそのまま、素朴に、おおらかに、見た目野暮ったい、でも軽やかで、いたずら好きな、そんなソースとしてご提供させて頂きたいと思いました。

そして、付け合わせ。
ここまで長々と書いている千代幻豚と、ソース・ザンガラへの思い入れに、引けをたらないのが、焼き上がった肉や野菜の下に敷いている、「カミアカリ玄米」です。

この玄米は凄いです。むちゃくちゃ美味しいです。もう、諸手を上げて絶賛です。

この玄米は特別変異種だそうです。静岡の藤枝で農業をされる松下明弘さんが1998年9月に発見し、そこから研究に研究を重ねて、2008年3月に農水省に登録された、まだまだ全然知られていない玄米です。
特別な玄米なので、生産者も絞りに絞って、全国で3人の生産者だけが栽培を許可されています。藤枝さんを加えて4人だけが作れる玄米。それぞれの玄米はそれぞれ違った特徴を持ち、それぞれがとても美味しい。
クルティーヌでは、藤枝さんのカミアカリ玄米を使用しております。

カミアカリは玄米で食べるお米です。玄米食専用です。
精米してしまってはその価値がなくなってしまいます。
その大きな特徴は、胚芽が普通のお米の3倍もあるところ。そして、この玄米、トウモロコシの香りがします。(美味しい野菜に多い香りです)
加えて、食感がすっごく、プリップチッ。
僕はこんな玄米初めて食べました。まさに感動の美味しさ。召し上がられたお客様は昔の玄米のようだと仰ってくださいました。
千代幻豚との相性はもう最高です。今が旬のビーツを岩塩焼きにして添えて、旬の短い、アスパラソヴァージュ(野生のアスパラ)を添えて、もう、この一皿にはこれ以上ない程の気合いを込めてご提供させて頂いております。

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葉生姜とルバーブのソルベ

ふぅ〜〜〜〜。千代幻豚で語り尽くしました…。ここからは軽めの説明で行きたいと思います。
こちらのソルベも旬の葉生姜と、ルバーブのマリアージュで、他にない爽やかさを形にしています。生姜の辛味、ルバーブの酸味がよく現れて、膨らんだお腹にす〜〜〜っと染み込んでくれると思います。


宮崎県産完熟マンゴーのスープとソルベ新茶の清涼感を添えて

宮崎の生産者から直接仕入れる、完全に現地で熟した完熟マンゴーのみを使います。
おいしいマンゴーはシンプルに頂きたいものです。ですので、新茶の葉のゼリー、新茶の葉のクレープに蜂蜜のクリームを巻き込んだものと、新茶とホワイトチョコのソースでお召し上がり頂きたいと思います。

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そして、食後のお飲物と、小さな3種の小菓子。
もちろんマカイバリもお選び頂けます。


さて、今月の紫陽花コースはいかがでしたでしょうか。
今回の説明も力がはいりすぎました。。。。
燃え尽きました。。。


どうぞ、みなさま、ぜひ、紫陽花コースを食べにご来店下さい。



紫陽花コース 前編はこちら



<クルティーヌからのお知らせ まとめ>

クルティーヌと言えば熟成肉 


トリュフ量り売り 330円〜 

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塩  
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宜しくお願い致します。
by courtine | 2015-06-14 00:01 | 今月のメニュー、特別メニュー
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