生徒たち

3ヶ月前の 2月12日 杉並区松渓中学校から「職業人の話を聞く会」ゲスト講師として招かれました。

やはり、こういうのは嬉しいものです。休日返上で講師に行くのですが、気持ちは少し弾みながら、どんな中学生達が待っているのか、どういう話の流れで、どう攻めていこうかと考えながら嬉々として自転車で向かう。中学生と接する機会などほとんどないので、内心どのような子供達に教えることになるのかドギマギ(死語)もしていましたが(笑。 (不良がいたらどう対処すればいいのかな・・・。)

松渓中学校到着。

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「さて、フランス料理(だけでなく職人の道のかっこよさ)に目覚めて頂きます。」

正門の前でつぶやく。
門をくぐり、校舎の前でひと呼吸。彼らにとってまだおぼろげな将来のビジョンにわずかでも輪郭を与える話、暗がりに光を当てるような、将来が楽しみになるような話をしよう。と、僅かにある緊張を腹の底へ落とし、意志を固める。
 
校舎に入ると、案内されるままに控え室へ。すると10人くらいのゲスト講師の方々が既に待機されていました。

聞くと、警察署から警察官の方、アート関連では、幅広い分野でデザイナーとして活躍されている方、サッカーのコーチをされている方、科学専門で、パイプオルガンの仕組みを持って来ている講師などなど・・・。
各分野なかなか個性派揃い。これは負けられない。
本格的な料理人を目指す若者が少なくなってきていると言われて久しい昨今、ここで少しでも有望な若者を獲得せねば。なんて大局を見るような気持ちを若輩ながら抱きつつ出番を待つ。

それぞれ軽く自己紹介した後、教室からおのおのに生徒が呼びに来た。

僕には、初々しく、礼儀正しい女生徒が頬を赤らめつつ迎えに来てくれました。
それにしても、なんて感じのいい中学校とその生徒達だろう。

教室へ向かう途中も3年生くらいの大柄の男の子の何人かとすれ違うけれど中学生活を素直に楽しんでいる風が見てとれる。

教室に入ると比較的背の小さい素直そうな生徒達が待っていた。

あとから知ったのだけれど、彼らは料理や、製菓に興味のある中学1年生らしい。僕はてっきり3年生の就職活動の一環なのだと考えていたので驚きました。1年生の今、職業人の話を聞いて、2年生で各職場に見学、疑似体験に行くのだそうですね。3年生になるとあとは職業の選択。
今時の中学校は将来像を中学1年生の頃からしっかり意識させる・・・。感心してしまいました。

教室の生徒達の顔を一通り見て、何となく3年生がいないことに気付いた僕は、持っていった資料を彼らに読んでもらいながら、自分の料理人になるまでのいきさつ、その後の経験や、苦労話、フランスに渡ってからの笑い話などをフランスの魅力とともに話してゆきました。

さて・・・結論から言いましょう。50分間など「あっ!」という間でした。

手ぶらでは間が持たないかもしれない、時間が余ってしまったらどうしようかと、資料を持ってきたわけですが、その資料を読ませながら順調に40分くらい過ぎたでしょうか。資料の終盤にきたとき、僕はハッとあることに気付きます。 

強引にまとめて急いで質問タイムへ移りました。。。

その”あること”というのは・・・

実は彼らは前もって僕に聞きたい質問をきちんと用意して待っていてくれていたということでした。

前の女生徒の手元を覗くと、なんと10項くらいの質問が箇条書きで書いてある。きっと全員が10項ずつ質問を持って、質問の時間になるのを「いまかいまか」と心待ちにしていたのではなかろうか!!! 

しまった〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!

こんな無垢な生徒達の思いをこんな形で裏切ってしまうなんて。
考えの至らない自分のなんと情けないことか。

調子に乗って僕の昔語りなどせずに最初から彼らの質問にひとつずつ答えてあげた方がどれだけ彼らのためになったのか。きっと彼らは一生懸命に質問を考えてきてくれているに違いない。

罪悪感。

穴があったら入りたい

が、時既に遅すぎる。既に時間は残り7、8分というところか。
ここからはどれだけ彼らの質問に簡潔に、的確に答えてあげられるか。そのことで頭がいっぱいでした。

夢中になってざっと4人くらいからひとつずつ質問に答えただろうか。そのなかには「イタリア料理とフランス料理の違いを教えて頂けますか?」なんて、一言では説明出来ない質問がきて、まとめるのに四苦八苦。
しかも彼らは前のめりになって一生懸命僕の話を聞いてくれる。
ああ、なんと素晴らしい生徒達…。
生徒に感動しながら自分にがっかりしつつ必死で答えているところで無慈悲なチャイムが鳴り響く。

チャイムの余韻に僕自身のふがいなさが重なる。

彼らはまだいろいろと聞きたそうだった。
そりゃそうだ。まだ4つしか質問に答えられていないのだもの。でも、チャイムと同時に他のクラスの子供達が廊下に出て、そのはしゃぐ声が聞こえる。

彼らをこのまま拘束するわけにもいかない。

申し訳ない。
後ろ髪を引かれる思いで最後の挨拶をして、教室を出ることにしました。
最後まできちんとした挨拶だった。

ああ、申し訳ない。

しかし、講師にきた先生が落胆した姿で帰る姿を見せるわけにもいかない。

颯爽と教室を後にした(つもり)。

そして、他の講師の方々と合流し、挨拶をして、解散となったのでした。

ちなみに他の講師の方々は、なんだか慣れた感じで控え室で今回の「職業人の話を聞く会」について、話し合っていました。ちょっと聞こえてきた内容だけでも、興味を引く内容に聞こえる。面白そうな話をしてきた余韻が伝わる。

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パイプオルガンの原理。 スイッチを入れると同じ筒を叩いでも違う音がする。(これを見て僕も講義を聞きたく思いました。)


課題の残る初講義となりました。



「感想文」へ続く



感想文

質問①「イタリアンとフレンチの違い」 

質問②「職業病はありますか。」
  ③「人気メニューは何か」
  ④「シェフになるまでに苦労したこと。」


質問⑤「こだわっている部分」 長いです(汗

質問⑤「こだわっている部分」  後編 長いです。。

質問⑥「勤務時間」
  ⑦「メニューは誰が考えているのか。」
  ⑧「いつ今の仕事になりたいと思ったか。」


質問⑨「何年くらいこの仕事をしているのか」
  ⑩「今出来ること」
  ⑪「どのような思いで料理を作っているか。
  ⑫「材料はフランスから輸入していますか。」



生徒達の感想文
by courtine | 2015-05-23 20:50 | 日常
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