3月6日に新しくなった今回のメニューは、口にされたお客様から、軒並みお褒め頂いていて、桜が咲くまでしか提供しないのが、少し悔やまれるお料理ばかりなので、今日から出来るだけ「ピックアップ」して、その”命”達にスポットを少しでも当ててあげようと思います。
天使の海老とアヴォカドのタルタル 塩トマトのクーリ 天使の海老は、青い海老。その透き通る青さの身は、ねっとりと、でもぷりっと、甘く、ほのかに海の塩味と、海老の旨味、香りを放ち、その味わいには深みがありながら雑味がなく透き通っています。 フランス当時のメゾン・クルティーヌでも”ガンバス・ブルー(青い車エビ)”と呼び、よくメニューに載せていました。お客様からいつも喜びの声を頂いていた、そんな美味しい海老なので、やっぱり、オーダーが入ってから庖丁を入れます。 アヴォカド、ライム、エシャロットと共に一息にタルタルに仕立て、塩トマトのクーリ(ピュレにし、裏ごししたもの)を敷いた上に。 その塩トマトは、熊本県宇城市不知火町にある塩田の跡地で、澤村さんが、一生懸命に育てている有機塩トマトです。 天然ミネラルが豊富な土壌による、“糖度10度以上の甘み、酸味、コク”が特徴。 肥料は筍やアケビ、川岸のクレソン、野原のよもぎ、海藻など、天然の材料にこだわり、それらを黒砂糖につけ込み、液肥をつくっています。これらを、米ぬか、採種油粕、魚粕などを合わせぼかし肥料として使っています。 その畑で出来るすべてが”有機塩トマト”となるのでなく、”有機トマト”の中に、ほんのわずかに”有機塩トマト”が出来上がるということで、澤村さん曰く、「トマトに聞かないと分かりません」とのことです。 澤村さんと塩トマトの出会いは、1999年の大型台風のとき。 高潮の影響で海のすぐ近くにある農場が、水没し、完全に海の底。ハウスの中を鯛が泳いでいたそうです。 その、向こう3年間は栽培出来ないだろうと言われたその土地で、「一か八か土の力を試そう」と栽培してみると、糖度10度以上の甘い小ぶりなトマトが出来たそうです。 澤村さんと、海と、大地が生んだ、生きようとする命の輝きがもたらした食材。そんな最高の食材は、やっぱり、存在感たっぷりで、皿の上でも輝いています。 この時期だけフランスから届く”ピサンリ(タンポポの葉)”は、黄色く、その独特の苦味が胡桃と合わせると絶妙。皿の上で、うるいと共に春を感じる良いアクセントになってくれています。 そうそう、この天使の海老や、ラングスティーヌ(赤座エビ)等の輸入の海老が、築地で品薄になりつつあって、近い将来、築地からなくなってしまうかもと言われています。 もう既に、価格もどんどん高くなっているので、提供出来るうちに、出来るだけたくさんの方に食べて頂こうという思いも込めて、3月のメニューの一品に加えました。 おいしい天使のえび、クルティーヌのスペシャリテである、”ジャガイモを纏った赤座エビ”も、そのうちに、メニューから消えてしまうかもしれません。 ジャガイモを纏った赤座海老2尾とピマントデスペレット(エスペレット村の一味唐辛子) どうぞ、まだ安定したご提供が出来る今のうちにお召し上がり下さい。 今日のピックアプ ”天使の海老とアヴォカドのタルタル 塩トマトのクーリ”は、ディナーの”沈丁花”コースの一品です。
by courtine
| 2014-03-07 22:43
| 今日のピックアプ
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